奥武蔵の風

奥武蔵の里山から、おいらのご主人が、風の吹くまま気の向くままに、日々の発見や思いを綴ってまいります。

248 信仰篤き奥武蔵 : 出羽三山供養塔

 奥武蔵を散策していると、少なくとも私の徒歩圏内について言えることは、路傍に多くの石造りの供養塔が見られることです。

 ここで供養塔というのは、今日の言葉からイメージされる慰霊碑の類ではなく、遠方の霊場へ地元民が巡礼に出かけ、無事に帰還した際、目的を達成した証として建立された記念碑です。

 とりわけ目をひくのは、中央に大きく「月山」、左右に「湯殿山」「羽黒山」と彫られた出羽三山への巡礼達成記念碑です。

 専門家の話では、集落を代表して有志が巡礼に出かけ、無事達成できたときには後世に残る供養塔を建てて、村人全員が喜びとご利益を共有したそうです。

 日本の古き良き共同体の姿を、石の供養塔は静かに語っているように思われます。

 ちなみに、出羽三山信仰は、江戸時代に東国の間で流行したそうですが、この地域の出羽三山供養塔も、それを裏付けるものと言えるでしょう。また、距離を置かず何ヵ所にも見られるのは、一つの集落が供養塔を建てると、聞き及んだ近隣の集落でも、信仰心から出羽三山への巡礼を試み、次々に供養塔の建立が広まったのではないか・・・・と、これは私の推測です。

 

 

⇧ 左の石碑が出羽三山供養塔。中央上に「月山」、右に「羽黒山」、左に「湯殿山」の文字がくっきり彫られています。場所:日高市かわせみ街道沿い、聖天院近く。撮影2025年9月。

 

 

⇧ 苔むしていますが、上部中央の黒いところに「月山」の「月」の字が、すぐ右下の黒いところに「湯殿山」の「湯」の字が、読み取れます。場所:高麗駅から巾着田へ向かう近道。「水天の碑」の左隣。撮影:2025年10月。

 

 

⇧ 同上

⇧ 左端の上部が丸みを帯びた縦長の石碑が「出羽三山供養塔」。写真では見えないかと思いますが、上部中央に「月山」。右に「羽黒山」、左に「湯殿山」の文字。場所:日高市四本木。ちなみに、右端は日高市指定文化財「四本木の板石塔婆」。撮影:2025年9月。なお、ここにある石造物は、区画整理に伴って移設保存されたものである由。